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大沢 明; 加倉井 和久; 長壁 豊隆; 中村 充孝; 武田 全康; 田中 秀数*
Journal of the Physical Society of Japan, 73(6), p.1446 - 1449, 2004/06
被引用回数:33 パーセンタイル:77.7(Physics, Multidisciplinary)TlCuClはこれまでに行われてきた磁気測定の結果から基底状態がスピン-重項で励起状態との間に有限なエネルギーギャップ=7.7Kを持つスピンギャップ系であることがわかっている。最近、この系に対して、=1.48GPaの静水圧を印加し非偏極中性子弾性散乱実験を行ったところ、零磁場中で=16.9K以下において三次元秩序に伴う磁気ブラッグ散乱を観測した。われわれは今回この圧力誘起相転移に伴う磁気秩序構造についてより詳細に調べるために偏極中性子弾性散乱実験を行った。その結果、=16.9K直下では秩序モーメントはa-c面内に寝ていて、=10.0Kで逐次相転移を起こし、モーメントがb軸方向に立ち始める振る舞いを新たに発見した。
加倉井 和久
no journal, ,
The recent development of neutron scattering techniques, especially polarized neutron scattering utilization, will be reported with examples from the recent investigations on mutiferroic materials.
熊田 高之
no journal, ,
核偏極中性子散乱法は、中性子の水素に対する散乱能が互いのスピン自由度に強く依存した性質を用いた複合材料の構造解析手法である。試料中の水素核偏極度に依存して変化する複数の偏極中性子散乱パターンから、複合材料における成分毎の構造とその位置関係を決定できると言った特徴を持つ。本手法は、これまで小角散乱法と組みあわせて複合材料のナノ構造解析に用いられてきたが、最近では我々らによって反射率法とくみあわせて多層膜材料の構造解析に用いるなど新たな展開が示されている。そのような背景の下、我々は、結晶試料の核偏極、核偏極法の回折法への展開、ハイドロジェノミクスで扱う水素機能性材料への展開、というロードマップを描いている。
熊田 高之
no journal, ,
中性子の軽水素核に対する散乱能は互いのスピンの向きに強く依存する。我々が開発を進めているスピンコントラスト変調法はその性質を用いた他成分の構造解析手法である。これまでに、小角散乱,反射率、ならびに粉末結晶構造解析で原理実証試験を展開してきた。次に進めるべきは、モデル材料ではなく、同手法を用いた実材料の構造解析である。本講演では、これまでの成果を示すとともに他の構造解析法との比較を交えて今後の展開のあり方を議論する。
熊田 高之
no journal, ,
我々は動的核偏極装置(DNP)を中性子ビームラインに設置することによりスピンコントラスト変調中性子小角散乱および反射率測定を実現している。これにより、従来の無偏極散乱測定では得られない詳細な構造情報を得ることができる。現在、スピンコントラスト変調法を操れる中性子施設は世界中でも極めて限られる中、我々はスピンコントラスト変調法を高度化するとともに同手法を使った好研究例を輩出しつづけることでその価値を示し続ける。